個性的な歌詞とはなにか

作詞をしようとする、歌詞を書こうとすると「個性的」であることは望まれがちです。どこかで聞いたようなフレーズだけが並んでいる歌詞を「良い歌詞」であるという人は少ないでしょう。これはなぜかというと、作詞というのは「創作」であると考えられるからで、「創作」である以上はそれを作る人のオリジナリティ、個性といったようなものが求められ、端的に言えば他の誰かが作ったものとは違う必要があるということです。
 

 しかし、個性的というのはなかなか難しいことです。個性的であれ、というスローガンに悩む人は音楽の道をめざす人以外にも多いでしょう。その理由は二つあるように思います。ひとつは、

「人は誰しも本来個性的だから」

です。

似たような友達同士であっても、考えていることはそれぞれ違いますし、同じ出来事であっても人それぞれ感じることは違うからです。よく似たようなワードとして「自分らしさ」という言葉も出てきます。歌詞に自分らしさをいれるというのは実際にはそれほど難しくありません。「彼女にふられてつらくて、食事ものどを通らない」という体験をしたなら、それをその通り書けばそれは当然「自分らしい」歌詞になります。なぜなら、まさにその体験を自分がしているからで、自分以外はその体験とまったく同じ体験は絶対にしていないからです。であるから、自分の考えや自分の思いを「自分らしく」書けばそれは本来的に個性的なのであって、そもそも「個性的な歌詞をかけ」というスローガンは、「自分の力で歌詞をかけ」と言われているのとほとんどかわらないもののように思えてしまうものなのです。個性的なものが書けないと悩む人は、だいたいこの段階で悩んでいます。

 さて、個性的な歌詞をかけというスローガンのもう一つの難しさは、

本当に個性的なものは伝わらないかもしれない

ということです。あまりに表現が個性的すぎて、どんなことをいっているのか、よくわからないという状況です。この問題はクリエイターであれば、どこかのタイミングで必ずぶつかります。誰かに理解してもらいたいというのが当然の欲求であること、あるいはそもそもそれがビジネスとしてなりたつためには他者の存在が必要になることを考えればそれは当たり前のことでしょう。もちろん、本当のことをいえば「伝わらなくてもいい」んです。ただしそれでは、そもそもこの話の前提にあわないことなので、今は考えないようにしています。


どんな歌詞が具体的に、個性的なのか


 実は、個性的な、つまり他とは違った歌詞をすぐに書く簡単な方法がひとつあります。

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