歌詞とタイトルの関連について


1/23の #ロゴススタジオ 作詞ワークショップのテーマである「歌詞とタイトル」に関して、論点になりそうなものをまとめています。ワークショップに参加される方はもちろん、作詞に興味のある方はぜひ読んでみてください。

さてではまず歌詞に対して、「タイトル」がどのような立ち位置にあるのか、で場合分けをしてみましょう。

「導入型」
このあと書かれるべき歌詞がタイトルの「説明」になっているというパターンです。タイトルは語られるべきことに対する導入部分ということになり、「おそらくこういったことが歌われるのだろう」という推測を可能とするようなものになります。このようにいうと、ひどく機械的なイメージになりますが、以下のようなことです。

まずタイトルは、その歌詞の導入になっています。例えば「ふたりの恋の話」というタイトルであれば、「ああきっと、2人の恋の話が描かれるのだろうな」という類推ができます。例えば、そこからは友情や、家族といったことではなく、多くの人の中からある特定のふたりを描いたものであるのだろうとも推測できるでしょう。
 ところで、ここは少し難しいところかもしれません。特定のふたりではなくて、これはある普遍的な「ふたりの恋の話」をしていると考える人もいるかもしれません。しかしそれは基本的にはありえないと考えられます。なぜなら、恋というのは「普通ふたりでするもの」だからです。もしも「三人の恋の話」だったら、普遍的な三人での恋の話ということもありえます。つまりここでいえることは、「普遍的なタイトルであれば、特定の事象が歌われるだろうし、かなり具体的、あるいは特殊なタイトルであれば、むしろその分野における普遍性が歌われるだろう」ということだと思います。
 さて、しかしながら、何をもって「普遍的」であるのか、というのはこれはこれでかなり難しい問題です。これはぜひワークショップの中でも扱いたいと思っています。

ひとまず、いくつかの点だけ触れておきましょう。一般的には、「普遍的」なタイトルは「導入型」のタイトルとしての特性を持つと思われます。というのは普遍的なタイトルはまさに上でも述べたように、その意味内容が多くの人にとって既知であるということですから、結果的にそれはおそらくこういった歌詞内容になるだろう、ということを類推させることになります。
逆に、意外な曲を作ろうと思ったら普遍的なタイトルで、導入型にしないというのは簡単にできると思います(そういった内容のものをつくるのが簡単だ、ということではないですが)

「オチ型」
このタイプは、つまりタイトルを読んだだけではなんのことかわからないが、曲をきいて歌詞を理解した後にそのタイトルの意味がわかる、というようなパターンのものです。これは特に、今まで歌詞として歌われたことがなかったような「語」を歌詞に盛り込む場合に発生します。
これは、既存曲で説明すべきかと思いますが、例えば僕がかいた「夏のクオリア」という曲、これはクオリアというものの意味を知っている人はともかく(多数派だとは、少なくとも僕は想定していません)、そうでなければ「夏に関する、何かなんだろう」という程度のことしかわからないと思います。夏の曲だ、ということがタイトルからわかるだけでも相当なことではありますが(ちなみに、「夏のクオリア」はよく読むとわかるんですが、季節が夏である必要はない歌詞になってます)
全部歌詞をみると「夏そのもの」というよりも「夏感」といったものをテーマにしていることがわかります。あとは興味がある人は「クオリア」という言葉をしらべて(僕も解説を書きましたし、今ならwikipediaなどでも十分わかると思います)、もう一度この言葉の意味合いと歌詞の中での表れを確認してもらうことになります。

ビジネス的に考えれば、「何度も聞いてもらう」理由をつくりやすいとはいえますが、逆に最初から敬遠されてしまうという可能性もあるかもしれません。

「無関係型」
無関係型は、タイトルが歌詞のないようとほぼリンクしていないと思われるものです。これを検討のためさらに以下の三つに分けたいと思います。

・歌詞にタイトルが登場しない
これはテキスト的にタイトルが歌詞中に登場しない、というパターンです。この場合、もちろんタイトルが意味内容として歌詞と関連しているということは多く、これは特別多いというほどではないですが、珍しいというわけでもないパターンでしょう。前述の「導入型」「オチ型」であってもこのタイプに属しているものも当然ありえます。

・タイトルが、歌詞に部分的にしかリンクしていない
これは、極めて珍しいパターンと思われますが、タイトルは歌詞の一部にしか、関連していないというものです。歌詞が全体としてひとつの作品としての体裁を保てていない、というようなレベルのものではありえるかもしれませんが、通常ポップスの歌詞はひとつの作品においてはひとつの物語、ひとつのまとまりをもっていることがほとんどです。つまり、それらに共通するものの中から、それが明示的にであるかは別としても、タイトルが付けられている、と考えるのが普通です。
自分がかつて実験的につくったものの中にはありますが、このようなパターンの楽曲(そしてそれが曲として破綻してないと思われるもの)を知っている方はぜひ教えてください。

・タイトルが、歌詞にまったくリンクしていない
これは意外とありえるパターンだと思います。ただし、歌詞は通常のテキストにくらべると、テキストとしてかなり分量が少ない分いわゆる「深読み」がいくらでも可能になるので、そのような深読みさえもいっさいさせないほどに無関係なタイトルというのはなかなかつけづらい、ということはあるかもしれません。

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・その他の論点
タイトルがない歌詞、というものについても考えてみたいと思います。これはワークショップでの議題のひとつとしたいと思います。

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ヤマモトショウ

作詞家です。音楽をつくります。#ロゴススタジオ で作詞について書いてます。「食べる毎日、毎日食べる」では一日一軒食べたお店を紹介します。

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