音楽プロデューサとして振り返る2018年

2018年も音楽プロデューサとして、様々なアーティスト、楽曲に関わることができました。
ところでnoteでは「#ロゴススタジオ」として「言葉から音楽を考える」というテーマがあるので、それに即していえば「音楽プロデューサ」というのは実に内容が不明瞭な仕事です。僕もこの名前で、色々な仕事をしていますが(僕の仕事は音楽プロデューサだけではありませんが、重要なひとつだとは思います)、同じように音楽プロデューサと名乗っていても、案件ごとにやっていることは随分違うように思います。僕1人の中でもこれだけ違いがあるので、他の「音楽プロデューサ」の方はもっと違うことをやっていたりするのでしょう。(それもあって、わかりやすく僕の仕事のことは「プロデューサー」ではなく「プロデューサ」と表記しています)

実際に僕がどういうことをしているかというと、たぶん一般的「音楽プロデューサー」なイメージに近いのはアーティストの楽曲制作を依頼されてそれをつくること、だと思います。

これももちろんやっています。

この場合作詞家や作曲家と何が違うのかというと、おそらくアレンジや、レコーディング、ミックスなどその楽曲が完成するまでのすべての工程に何かしら関わっている、というような意味ではないでしょうか。

しかしもう少しつっこんだことをいうと、多分みなさんがイメージされる「音楽プロデューサー」はアーティストの方針、方向性をきめるような人のこと、ではないでしょうか。これは実際のところ、まあそんな感じです。つまり実際には、その結果として、というその過程でというか、作詞とか作曲とかアレンジとかミックスとかに口を出さざるをえない、ということになるわけです。もしかしたら、音源だけでなく、ライブの演出とかミュージックビデオといったようなプロモーションに関わることまで影響するかもしれません。こういったこともたしかにやっています。

僕はさらに音楽プロデューサとして、アーティストの発掘や育成、あとそれに対してのファンドとして資本を提供したりといったこともしてます。また有り体にいえば、新しいアーティストを探してきて、その人の音源をつくったり、ライブやMVやグッズや衣装のことを考えてそれにお金を出したり、といったことです。これは一般的に音楽プロデューサーというイメージには合わないかもしれませんが「プロデューサー」という言葉の意味から考えればある程度自然なものです。
これは結構時間もかかるし、うまくいかないことのほうが多いので、大変なんですが音楽というのは不思議なものでなぜか新しい才能が必ずでてくるので、労力を惜しまなければ何かがおきるような気がしています。まあそんな単純な話だけでもないんですが。

他にはレーベルとか事務所とか、アーティスト単位じゃない部分での音楽周りの相談も時々あります。

さて、2018年を具体的に振り返ってみると、


例えばアイドルグループ、フィロソフィーのダンスでは、僕は引き続き全曲の作詞をしました。詞をかくというのは、現代において少なからずマーケットを管理するという役目を果たしていると思うのですが、全曲であればなおさらです。そういった意味で、前述したとおりのプロデューサ的役割を少なからず担うことになります。このグループに関しては、結成時(オーディション時)から関わっているので、運営ともほとんど一体となって一緒に活動について考えています。今年は数字でみると、オリコン1位など明らかに躍進の年だったと思います。その数値に関してはだいたいは考えていたとおりのことが起こったので、そういった意味ではプロデューサ冥利なんですが、予想外のことが起きてほしいとおもってしまうのも性ですね。びっくりしたことと言えば、2年前にフィロソフィーのダンス関連で出会った「こいつだけは絶対に関わっちゃダメだ」と感じて「プロデューサとして」即断したとある人物が、2年ぶりに別の現場で現れたことです。アイドル運営の不祥事も相次いだ2018年ですが、アイドルのプロデューサのみなさんぜひ引き続き注意が必要かと思います。

バンドMINT mate boxのプロデュースも去年から引き続き担当しました。彼女たちも結成から一緒にやって、事務所決めたり、CDつくったりといわゆる「プロデューサ」業をやっているわけですね。今年は年始頃のツアーは一緒に行って演奏もしました。僕のスケジュールもあって全部は難しかったんですが、来年はもう少しなんとかしようと思ってます。あと今年はリアル脱出ゲームの主題歌ということで僕も大好きなGOING UNDER GROUNDの名曲「トワイライト」のカバーをやりました。脱出ゲームの企画サイドから僕にお話をいただけたので、色々考えたんですが、プロデュースしているバンドがここまでばっちりはまる案件もなかなかないなと思ったので、MINT mate boxとして参加したんですが、いい感じだったと思います。アルバムも2枚出せました。メンバーとあって2年半くらいなんですが、なんかもう別人です。自分もそうなのかな。

谷のばら、という17歳のシンガーのプロデュースを2年前くらいから準備していて、去年はミスiDというコンテストで見事受賞。色々準備してたんですが、アイドルやってみたいということで今年の夏に「放課後プリンセス」というアイドルグループに入ることになりました。人生いろいろ、僕も17歳のときになんとなく京都大学に行こうと思ってたのを、やっぱり東京にいきたいから東大にいこうと心変わりしたのを思い出しました。

ReLieFという二人組のアイドルグループ、今年活動をスタートさせたらしいのですが、こちらが「QRコードつき吹き戻し」として発売した音源の曲をサウンドプロデュースしました。「吹き戻し」の曲をお願いします、という話だったのでなんか面白そうだなとおもって引き受けた感じです。なんか面白そう、というアイデアが自分以外から出てくるのはなかなか「プロデューサ」としてはレアなんですが、僕に仕事をさせたかったらありな戦略かもしれません。楽しい曲作りでした。

来年リリースなんですが中村千尋さんというシンガーソングライターと楽曲を共作しました。これはプロデューサとしてはちょっとイレギュラーな感じのスタイルなので、もしかしたら作曲家、作詞家としての仕事なのかもしれませんが、サウンドやコンセプトにも立ち入った内容だったのでこちらにまとめます。偶然なんですが、スタッフ周りで共通の知り合いが多くて、色々面白かったです。みんなで飲みに行きましょう、という話になったのですが、私の知人の九州出身の方はみなさん酒豪でいらっしゃるので戦々恐々です。嘘ですよ。めちゃくちゃいい曲ができたので、こちらは本当に楽しみにしていただければと思います。

YURiKAさんの「ふたりの羽根」も作詞とサウンドプロデュース的な編曲をしてます。アニメの仕事はたくさんの方が関わっていて、またちょっと違う扉が開いていくのが面白いですね。

ましのみさんのデビューアルバムの曲も2曲ほどサウンドプロデュースで参加させていただきました。MINT mate boxもライブに呼んでいただいたりして、そのあたりも繋がって嬉しいです。

声優の渕上舞さんのデビューアルバムでも1曲参加しました。鳥がテーマのアルバムで、僕に与えられた使命は「フラミンゴ」だったんですが、タイトルそのままですいません。でも歌詞には一箇所も出てこないんですよ。このパターンが結構好きです。だいぶフラミンゴに詳しくなったんですが、1年間その知識は特に活かせませんでした。

念願だった舞台の音楽もやりました。劇団番町ボーイズの夏の舞台「さらば、ゴールドマウンテン」。なぜか本読みから参加してたんですが、僕の場合普段圧倒的に女性アーティストが多いので、この日はイケメンたちに囲まれて不思議な気持ちでした。

夏くらいから、新しいアーティストの育成スタイルとして、シンガーのライブ配信(ライバー)のプロデュース的なこともやっています。アーティストが今、自分の活動スタイルにあったやり方をしっかり選んでいくというのは、来年以降もかなり重要なことになりそうですね。来年はこちらもより力入れてやっていきます。

音楽プロデューサというのがなんなのか、よりよくわからなくなる良い2018年のまとめになったかと思います。
来年も色々仕事を作りたいと思います。

ヤマモトショウ

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